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男の子らしさ、女の子らしさってなに? 自分らしく生きるための“子どもジェンダー”

「ぼく、小学生になったら、赤のランドセルがほしい!」

「わたし、ズボンしか履きたくない!」

そんなとき、あなたならどう答えますか?

「男の子なんだから泣かないの!」

「将来、お嫁さんになるんだから、おうちのお手伝いをたくさんするのよ」

もしかしたら、知らず知らずにジェンダーバイアスを子どもに押しつけてしまっているかも?

『こどもジェンダー』の著者・シオリーヌ先生といっしょに、わが子が自分らしく生きていくためのジェンダーについて考えてみませんか?

 

お話/助産師・性教育Youtuber シオリーヌ(大貫詩織)
イラスト/にゃほこ

目次

1 そもそも“ジェンダー”ってなに?
2 子育てで“ジェンダー”を考えるときに大切なことは?
3 自分の人生を決める権利は、子ども自身にある!
4 教えてシオリーヌ先生! こんなときってどうしたらいい!?
5 シオリーヌ先生からのメッセージ

そもそも“ジェンダー”ってなに?

社会的に作られた「男らしさ」「女らしさ」

ジェンダーとは、

生物学的な性別(sex)に対して、

社会から求められる役割として作られた性別のことをいいます。

例えば、「家事育児をするのは女の人」「男の人は涙を見せず強くあるべき」などのように、生まれたときに決められた性別によって「役割」や「生き方」を分けるような考え方のことを指します。

「男らしい」「女らしい」という言葉もジェンダーの考え方によるものです。

ジェンダーによって、さまざまなことを決める考え方は、女性と男性の間に不平等を生む要因にもなっています。現在は、その不平等をなくし、ジェンダー平等の実現を図る取り組みが世界的に行われています。

シオリーヌ先生の著書の「こどもジェンダー」という言葉は、子どもの頃からジェンダーについて自分の考えをもち、世の中が決めるジェンダーに自分らしさを奪われずに生きてほしいという、シオリーヌ先生の思いから生まれました。

だけど、ジェンダーと言われても、なにをどうしたらよいか、わからない保護者のかたも多いのではないでしょうか?

次の章では、子育てでジェンダーを考えるときに大切なことをシオリーヌ先生に聞いてみました。

子育てで“ジェンダー”を考えるときに大切なことは?

ジェンダーに「これが正解」はない! ベストだと思うことを探し続けて

「自分の中で抱いている常識が、果たして本当に正解なの?」

と、一度、問い直してみる機会を設けることは、とても大切です。

「男の人ってこうあるべき」「女の人はこうでなければ」という私たちの認識は、日々、社会の中で生きていくうちに、“無意識”のところに知らず知らず刷り込まれているもの。

だからこそ、悪気がなくても、自分のジェンダーバイアスを気づかないうちに押しつけてしまう可能性があるのです。

それらをできるだけなくしていくために、自分の中の常識を絶対的なものと思い込まず、立ち止まって考えてみることは、とても大切な第一歩になります。

ジェンダーに「これが正解!」というものはありません。

保護者のかたやお子さんの価値観の中で、これがベストと思う考え方を探してみましょう。

自分の人生を決める権利は、子ども自身にある!

子どもの選択肢を制限してしまうのはNG!

まだ幼い子どもといえど、「自分のことは自分で決める」という選択は“子ども自身のもの”。

それは、家族やとても近しい人間であっても、奪ってはいけない大切な権利です。

子ども一人ではなかなか判断するのが難しいので、大人がサポートするという場面が多いだけであって、最終的に自分の人生について決める権利は、子どもにあるということを忘れてはいけません。

だからこそ、その子が生まれたときに与えられた性別(sex)が「男の子だから」「女の子だから」という理由で、子どもの選択肢を制限してしまう関わりは、十分に気をつけたいですね。

教えてシオリーヌ先生! こんなときってどうしたらいい!?

では、実際に子育ての中で直面するジェンダーの問題には、どんなことがあるのでしょうか? そのときの対応の方法も含め、シオリーヌ先生に聞いてみました。

Q.息子に「小学生になったら、赤のランドセルがいい!」と言われたけど、「男の子だし…」と思う気持ちも。なんて答えたらいい?

A.親の気持ちを素直に伝えたうえで、最後に子どもに決定を委ねてみては?

 

「男の子なのに赤のランドセルを持っていたらいじめられるんじゃないかな…」

「学校で浮いてしまうんじゃ…」

そんな心配から、

「黒とか、青とかにしたら?」

と誘導するなど、手放しで賛成できないのではないでしょうか。

しかし、もちろん、お子さんの気持ちを理不尽に制限することはできません。

そこで、どうして本人の“一番好き”を優先したくない気持ちになってしまうかをきちんと説明することが大切。

「赤のランドセルがいいと思う、あなたの気持ちはすてきだと思うよ。だけど、赤って女の子の色って思う人もいて、もしかしたら、あなたがいじめられたり、いやなことを言われて悲しい思いをしたりするんじゃないかな、っていう心配があるんだ。あなたはどう思う?」

などのように、どうして賛成できないのか、理由を説明した上で、最終的にはお子さんの決定に委ねるという心構えをもつことがよいのではないでしょうか。

 

Q.周囲の人から「女の子はお母さんになるんだから…」と娘が言われる場面を見て、「あれ?」という気持ちに。なんて声をかけたらいい?

A.家庭に入ることだけが女性の幸せではないのでは?「女の子だって男の子だって、なんにでもなれるんだよ」と言ってあげたいですね。

 

「お嫁さんになるにはお料理上手でないと」

「お母さんになるんだから、おうちのお手伝いたくさんしてね」

“将来、お母さんになる前提”で話をしてしまったり、周りからされたりすることってよくあります。

よかれと思って発せられた言葉の中に、女の子の将来の選択肢を狭めてしまうものってまだまだ隠れているのです。

まずは、身近な大人が、女の子だって男の子だって

「あなたはなんにだってなれるよ」

と言ってあげたいですね。

Q.息子が「スカートをはきたい!」と言います。子どもの気持ちを尊重したいけど、親として賛成できない気持ちが…。どうしたらいい?

A.どうして賛成できない気持ちになってしまうのかをひも解いて考えてみて。

「“息子がスカートをはくこと自体”がいやなのか」

「みんなと違うということが不安なのか」

「それをお友だちに見られたときに、どんなリアクションをされるのかが心配なのか」

「息子が他の親に批判されるかもしれないのが怖いのか」

自分が漠然と抱いている賛成できない気持ちを明確にすることは大切です。

そして、それを素直にお子さんに伝えて話し合ってみませんか?

 

もし、保護者自身が、周りの大人の反応から“自分を守りたい”という視点だったとしたら、“お子さんが自分らしく楽しく過ごせる”ということと天秤にかけてどっちを優先したいか、を立ち止まって考えてみてほしいです。

 

また、“周りの友だちから、からかわれてしまうんじゃないか”という不安が大きいのであれば、それをお子さんとも共有します。その上で、お子さん自身が

「誰になにを言われてもいいから着ていきたい!」

と考えているのであれば、その気持ちを尊重してあげてもいいと思います。

「お友だちになにか言われたらいやだなあ…」

と思うようであれば、「まずはおうちの中だけで着てみる?」と提案してみてもよいです。園の先生など、周りの大人に相談するのもよい方法かもしれません。

ご自身がなにに対して抵抗を感じるのかを具体的にしたうえで、その不安を解消する方法を考えていくとよいでしょう。

Q.わが家では気をつけていたつもりだけど、息子がふと「ぼく男の子だから泣かない!」と言い始めました。どうしたらいい?

A.男の子だって女の子だって泣きたいときは泣いていい

 

「男は、強くあるべし」という考え方は、子どもだけでなく大人も含めて多くの男性を苦しめているのではないでしょうか。

でも、痛いこと、辛いこと、悲しいことがあって涙が出るということは、人として当たり前のストレス対処能力だと思います。涙が出るとちょっと悲しみが和らぎますよね。

だから、辛かったら、愚痴や弱音を吐いたっていいし、誰かを頼ったっていいし、泣いてもいいということは、性別にかかわらず、幼い時から伝えていきたいですね。

 

そして、それだけでなく、「男らしさ」「女らしさ」という振る舞いを求められる傾向って、いろいろなところでまだまだあります。

たとえ、家庭の中で気をつけていたとしても、日曜日の朝にテレビをつけると、特撮ヒーローが悪と戦う番組の時間は男の子が映るCMが流れ、女の子が主人公のアニメの時間は女の子が映るCMが流れます。

そういったところからも、子どもが敏感にジェンダーを感じ取って学んでいます。

まずは、一番身近な私たちが、「男らしい」「女らしい」振る舞いにとらわれず、自分らしくいていいということを伝えていきたいですね。

シオリーヌ先生からのメッセージ

最近、「ジェンダー」という言葉をよく聞くようになってきましたが、私たち大人も、幼い時から、ジェンダーについての教育や人権教育を受けてきたわけではないので、「どういうことを考えたらいいんだろう」「ジェンダーって言われても、難しいなあ」と思われる方は多いのではないかと思います。

それでも、私が一つ、とても大切に思っていることは、「子どもの自分らしさを奪わない」ということ。

社会の“普通”にお子さんを当てはめるために、その子だけの特別な魅力を奪ってしまうような結果になってしまっていることって多々あるように思います。

でも本当は、“みんなと同じじゃなきゃ生きていけない社会”の方に問題があるのであって、その子の特別な魅力を奪う権利は誰にもありません。

だからこそ、「その子たちがありのままで生きていくことができる社会を作る」のがわたしたち大人の責任だと思っています。みんなで力を合わせて、実現しましょう!

 

 

お話/シオリーヌ(大貫詩織)

助産師、性教育Youtuber。

助産師として総合病院産婦人科病棟での勤務ののち、精神科児童思春期病棟で若者の心理ケアを学ぶ。2017年より性教育に関する発信活動を始め、2019年2月よりYoutubeチャンネルで動画投稿を開始する。著書に『こどもジェンダー』(ワニブックス)がある。

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