育児ミニ情報

どう直す? 子どもの鏡文字~否定せず、無理に直さず、一緒に書き&寄り添うことが大事!

子どもが文字を書けるようになってくると、「うちの子すごい!」「天才!?」などとうれしくなってしまいますが、そのうち気になる点も出てきます。中でも、ママパパからの心配事として挙げられるのが「鏡文字」です。

鏡文字とは、たとえば「し」を「J」と書いたり、「の」が逆の巻きになったりするなど、鏡に写したように反転してしまうこと。

子どもの文字が鏡文字になっていたとき、その場で注意をした方がいいのか? 書けたことをほめた方がいいのか? など、対応に迷ってしまいますよね。

今回は、横浜国立大学教育学部教授で書道家の青山浩之先生に、幼児期の「鏡文字」についてうかがいました。

幼児期の子どもの「鏡文字」って?

子どもが、文字を書き始めるきっかけはいろいろ。たとえば、ママが「これは○○くんのお名前に出てくるね」などと教えたり、ママやパパが文字を書いているそばで見て興味をもったり、パッと目にした文字が何かおもしろい形だったりする、など。

いずれにしろ、文字に興味を持ち、書いてみたくなるのがスタートです。

文字が書けるようになってくると、いろいろ気になることも出てきますが、なかでもどうすればいいのか、対応に迷うのが、「鏡文字」です。

鏡文字とは、その言葉の通り、鏡に写したように左右が反転した文字のこと。日本だけでなく、世界中で文字を書き始めた幼児期の子どもによく見られる現象です。

「鏡文字」の原因は、まだ成長途中だから

 なぜ、幼児期の子どもは鏡文字を書いてしまうのでしょうか?

原因として挙げられる説はいくつかありますが、主な原因として考えられるのは以下の3点です。

●幼児期は「左右」の認識が難しい

幼児期は、「上下」や「前後」の認識は比較的しやすいのですが、「左右」についてはあいまいで、認識が難しいといわれています。

大人になっても、急に「右!」「左!」と言われて、とっさに間違えてしまうこともありますね。

●まだ利き手が定まっていない

左利きだと鏡文字になりやすいともいわれますが、幼児期はまだ、利き手が定まっていないケースがあります。右手を使っていたかと思うと、違う日には左手を使っていることも。

利き手は、生まれつき定まっているわけではなく、生活の中での経験が影響し、だんだんと分化していくという考え方もあります。

●ひらがなを図形として認識している

子どもは、ひらがなを見ても、それをまだ文字として認識できません。数字や図形と同じで、一つの形として認識しています。

そのため、文字の向きが反転していても、気づかないこともあるのです。

 

つまり、子どもが鏡文字を書くのは、まだ成長途中だから

文字を書き始めた子どもであれば、誰にでもあることといえます。

発達障害のある子どもの特徴の一つに「鏡文字」があることで心配される方もいますが、小学校低学年くらいになると、ほとんどの子が鏡文字を書くことはなくなっていきます。あまり心配しすぎないでください。

ただ、それ以降でも読み書きなどに気にかかる点があるようでしたら、地域の行政窓口や、発達支援センターなどに相談しましょう。

「鏡文字」をほほえましく受け止めつつ、親子で一緒に書いてみる!

子どもが書いている文字を見て、鏡文字だったら? どう対応すればよいでしょうか?

まず、「違うでしょう!」などと否定して直させたり、しつこく注意したりするのはNGです。文字を書くこと自体が嫌いになってしまいます。

今しか見られない、この時期特有の文字ですから、ほほえましく思って見守ってあげてください。

声をかけるなら、「あっ! 逆を向いているかな~」などと軽く言って気づかせる程度でOK。

また、青山流としておすすめなのは、親も鉛筆を持って子どもと一緒に書いてみること。

「こう書くのよ!」と教えるのではなく、そばで寄り添いながら一緒に文字を書くことを楽しんでください。

子どもは、大好きなママやパパがそばで寄り添ってくれることがうれしく、書いている文字をまねしたいと思ったり、書いている文字を見て「そうか! こうなんだ」と自分の文字との違いに気づいたりして、どんどん吸収していくことでしょう。

大事なのは、「正しい文字を書かせなければいけない!」という使命感ではなく、「一緒に楽しもう!」という気持ちです。

「ひらがなの五十音表」を活用! 遊びながら気づけるように

子どもの「鏡文字」が気になっている場合、「ひらがなの五十音表」を子どもの目に付く場所に貼る、という方法があります。

自然と、文字の向きに注意が向いて、自分の文字が逆だったと気づくきっかけにもなります。

また、まだあまり文字に興味がない場合は、文字の横に描かれているイラストに注目してみるのもおすすめ。

ただ、五十音表を使う際、「あ」から順番に五十音を教えようとしてしまいそうですが、子どもが興味を持った文字からで取り上げていきましょう。あくまでも、楽しむことが優先です。

五十音表の使い方にはもう一つあります。これは、ある程度文字を書き慣れた頃におすすめ。

ひらがなには、「は」と「ほ」や、「め」と「ぬ」など、似た形の文字がいくつかあります。子どもと一緒に五十音表を見ながら、似た文字を探して、並べて書き出してみます。「どこが違うかな?」などと、遊び感覚で比較して、違う点に目を向けさせてみましょう。

「書くことは楽しい!」を実感できる関わりを

お子さんが年長さんの場合、就学を前に「鏡文字になっている文字がある!」「名前が書けない」など、できていないことが気になることもあります。

でも、そういった呪縛にとらわれすぎないでください。

なぜなら、小学校1年生の担任になる先生方は、ひらがななどの文字を書くことについても、正しく整えることを教えるスキルをもっています。安心して、お任せしましょう。

入学前のお子さんに対しては、子どもの文字が書けた喜びに「すごいね!」「楽しいね!」と声をかけて寄り添いましょう。子どもの「書きたい!」意欲を伸ばすような関わりを心がけてください。


お話/青山浩之(あおやまひろゆき)

横浜国立大学教育学部教授。書写書道の研究・教育者であり、書道家。

「美文字王子」の愛称で知られ、テレビ番組や書籍、講演などを通じて、

美文字の普及に取り組んでいる。

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