育児ミニ情報

「赤ちゃんはどうやってできるの?」になんて答える?  ~3歳からはじめる性教育~ お悩みに専門家が答えます

未就学児だから、性教育なんてまだまだ…と思っていたら、ある日突然「ねえ、赤ちゃんはどうやってできるの?」とわが子から質問が…!急に聞かれたら、ついドキッとしてしまいますよね。ファンタジーでこたえるべきか、事実をきちんと伝えるべきか、小さい子を相手に悩むことも。

じつに5歳までの子どもの 80%が、性にまつわる質問をしてくるというデータがあります。つまり、子どもの成長過程でいったらごくごく普通のこと。そしてパパよりも聞かれることが多いようで、対応に悩んでいるママが結構いるようです。

そこで、性教育アドバイザーののじまなみさんに、性教育への向き合い方と、子どもの質問にどう答えるか、そのコツをうかがいました。ママだけでなく、パパも必見です。

お話/のじまなみ
イラスト/野田節美

目次

1 親はどう向き合う?「性教育」

2 性への質問【体について】

3 性への質問【赤ちゃんの存在】

4 伝えるときの心得3つ

「大切なのはわかるけど、どうやって“性教育”に向き合えばいい?」
〜親はどう向き合う? 「性教育」〜

子どもが被害にあってしまった性犯罪事件や低年齢での妊娠…など、コロナ禍の影響もあり、子どもの性にまつわるニュースや情報が連日のように伝えられています。

「子どもに“性教育”についてきちんと伝えたいけれど、何から話せばいいかわからない」「まだ難しい言葉もわからないから、うちは小学校に入ってからでいい」

など、遠ざけてしまいがちな“性教育”に、親はどのように向きあえばよいのでしょうか。

性教育=セックス教育ではない

のじまさん性教育にどう向き合っていけばいいかわからないというのは、そもそも“性教育”という単語を聞いただけで、セックス教育を思い浮かべてしまうママが多いことが原因になっています。確かにセックスの話が土台となり、話す必要のある場面は出てきますが、それは全体の1割程度。

基本的に、性教育のベースには愛情を伝えることがあって、それプラス次の3つを伝えることで成り立つのです。

  • コミュニケーション 
  • 防犯

まずは、ママ自身がそのことを理解したうえで、子どもに伝える心構えをもちましょう。

―――そうはいっても、恥ずかしいというママは多いです。

のじまさん:大丈夫! みんな最初は恥ずかしいし、わからないんです。それはママたち世代が、きちんとした性教育を受けていない人がほとんどだから。だからこそ、子どもたちにはしっかりと伝えていきたいですよね。

性の話を子どもに話した先輩ママたちは口々に、「なんであんなに性に関する話題や性教育を避けていたんだろう」「性について話す前よりも子どもが100倍かわいく、大切に感じる!」って話してますよ。

子どもたちの身近に性の情報があふれている

―――特に近年、性教育が大切と言われているのはなぜでしょうか?

のじまさん:未就学児の子どもたちが、園で性にまつわる言葉を叫んだり、お友だちの性器を触ってしまったり、チューしたり…そういった事が日常的に起きています。でも、“そんな言葉は言っちゃダメ”“そういうことしない!”だけでは、子どもには何も伝わりません。

なぜならテレビはもちろん、ネット社会の現代において、性にまつわる言葉や画像、イラスト=いわゆるアダルトコンテンツが身近にあり、その中で生きている子どもたちの周りは性の情報にあふれているからです。

―――それなら、子どもたちからアダルトコンテンツを遠ざけたらいいのでは?

のじまさん:それはナンセンスです。親が追いつかないからといって、インターネットのない世界で子どもを時代遅れにさせるのではなく、さらにインターネットだけでなくあらゆるところから情報を得ることを想定して、“性教育”と向き合うべきです。

例えば、砂糖を悪者にして、じゃあ砂糖は一切抜きで子育てしようと思っても…無理ですよね。園の給食に入っていることもあるだろうし、知らない間にお友だちから甘いお菓子をもらって食べるかもしれない。ただ、食べ過ぎはよくないし、食べる時間帯や食べ方などは伝えておきたい。

つまり、排除することを考えるのではなく、砂糖も性にまつわる情報も、要は子ども自身が向き合い方、付き合い方を知ることが大切なのです。

親の早いは、子どもにとってたいてい遅い

―――言葉の理解も必要だから、もっと大きくなってからにしたいのですが。

のじまさん:みんなそう言って後回しにしがちなんです。子どもが自転車に乗れるようになって、道路に飛び出しちゃってから交通ルールを教えても遅いですよね。親が“まだ早い”っていうことは、たいてい子どもにとって“もう遅い”こと。

自分と異性の体の違いに気づいたり、赤ちゃんに興味を持ったりするのは大体2、3歳ぐらいから始まります。難しい言葉で説明することだけが性教育じゃありません。子どもを抱きしめてスキンシップをとることだって性教育の一環。年齢に合わせて少しずつ伝えていくことが大切です。

―――ズバリ、何歳までに話せばいいでしょうか?

のじまさん:まずは10歳までを目安に、性について話してみましょう。なぜなら、10歳を過ぎると、少しずつ親から心が離れていくから。成長の証として、親の話を聞くよりも、友だちの情報の方が新しくて面白いと優先するようになるからです。

そして、①塾などの習い事が増えて親子で過ごす時間が少なくなる ②“おちんちん”などふざけて言わなくなるので、性の話をするきっかけがなくなる など、心理的な面でも実質的な面でも、話しづらくなってしまいます。そのため、できるだけ3歳〜10歳までに話すことをおすすめします。

困ったときの魔法の言葉『いい質問だね!』

―――突然、子どもからの性にまつわる質問。答えを用意していないときの対処法はありますか?

のじまさん:大丈夫、どんな質問がきても、“いい質問だね!”と返してみてください。きっと突然の質問に、ママの心の中は慌てていることでしょう。どう返事をしようかと困ってしまい、“なんで今なの!?”と眉間にしわがよってしまうかもしれません。

そんな気持ちや表情をぐっと抑え、ひとまず平静を装って“いい質問だね!”と言ってみましょう。少なくとも、その質問を拒否する言動や行動をとらずに済みますし、すぐに回答できなくても、“その質問、ちゃんと受け止めたよ”という姿を見せられます。

数少ないタイミングを逃さないために

のじまさん:また、私の経験から、子どもには『一度きりルール』があります。どんな質問でも一度拒否されてしまうと、そのことに関して口を閉ざしてしまうことがほとんど。ママが用意している答えに限って、いいタイミングで質問をしてくれることはまずありません。

どこから聞きかじって、どうしてその質問が出てきたのかを知るためにも、大切なのはタイミングを逃さないこと。子どもは思ったことをすぐ言うし、同時にすぐ忘れてしまう…。せっかくのチャンスを逃さず、答えられれば完璧だけど、“後で調べて、答えるからね”と付け加えるのももちろんOK。まずは、“いい質問だね!”で乗り切りましょう。

「性への質問【体について】や行動への対応のしかた、教えてください!」~性への質問【体について】~

自分の体に興味が出てきて、友だちや親との体の違いに気づいた子どもが問いかけてくる【体について】の率直な質問。お子さんが自分の体に興味があることを、まずは喜んでください。そして、「いい質問だね!」と受け入れてから答えるようにしましょう。下手に隠さず、真っ向勝負で挑むことが大切です。

【質問1】どうしてお父さんやお友だちの〇〇くんにはおちんちんがついているのに、私にはないの?

回答・対応例:お母さんのおなかの中にいるときは、女の子も元々はおちんちんがあって同じ形をしていたの。でも、男の子は男の子になるための男性ホルモンっていうのをお母さんからもらうんだ。それをおなかのなかで浴びたから男の子のおちんちんがのびたんだよ。

【質問2】ぼくとお友だちのおちんちん、どうして違うの?

回答・対応例:お友だちは顔も違うよね。顔だけじゃないよ、指紋(グルグルと指さしながら)も一人ひとり、みんな違うの。背の高い子や体の小さい子、いろんな子がいるよね。それと同じでおちんちんの形も大きさもみんな違うんだよ。それに、○○くんがお兄さんになっていくとおちんちんのサイズも変わっていくからね。

★のじま先生アドバイス
友だちと大きさを比較する、大きいほうがよいと捉えてしまうのを避けるために、「大きくなる」と強調するのではなく、「○○くんも年齢が上がればサイズが変わっていくよ」と伝えましょう。

【行動1】おちんちん、おしり、おっぱいといった言葉を外で連呼してしまう。

回答・対応例:ごはんの前はいただきますって言うよね。おうちに入るときは靴をそろえるよね。それと同じでマナーっていうのがあるの。(おちんちんなどの)そういう言葉を言うのはマナー違反! おうちの外には、その言葉を聞くと嫌な気分になる人がたくさんいるから、ママやパパがいるおうちの中だけにしようね。

★のじま先生アドバイス
ダメや制限ばかりでは、子どももつらくなるばかり。お客さんのいない家の中でなら OKというように、言いたくなってしまう気持ちも受け止めてあげることが大切です。場所と時間を具体的に指定するなど、こういうときは OKのルールも作ってあげましょう。

【行動2】園で、お友だちからチューされそうになった。


回答・対応例:性器やおっぱい、おしりと口は、体のとっても大切な場所なの。水着を着たときにちょうど隠れる場所だから水着ゾーン®って覚えようね。水着ゾーン®は、男の子も女の子も人に見せたり、触らせたりしてはいけないよ。自分だけの大切な場所だから。もしも、見せてって言ったり、触ろうとしてきたりする人がいたら、やめて!って大きな声を出して逃げよう。自分の体は自分で守るんだよ。

★のじま先生アドバイス
水着ゾーン®の話をする流れで、防犯の話をすると伝わりやすくなります。防犯というとどうしても、“知らない人について行っちゃダメ”“公園の公衆トイレは使っちゃダメ”とダメなことばかり畳みかけてしまって、子どもを怖がらせてしまいがち。

まずは、“あなたのことがママもパパもとても大切だよ。だから自分の体を大切にしようね”ということを、水着ゾーン®の話をする中できちんと伝えていきましょう。

「性への質問【赤ちゃんの存在】についての答え方、教えてください!」~性への質問【赤ちゃんの存在】~

下の子を妊娠したママのおなかがだんだん大きくなったり、友だちに弟や妹ができたり、と純粋に赤ちゃんをかわいいと思う一方で、その存在を不思議に思うようになる子どもたち。“○○ちゃんが生まれてきたときはね…”といったように、赤ちゃんの頃の話や、変わらず大切な存在であることを一緒に伝えながら、丁寧な説明を心がけましょう。

【質問3】赤ちゃんはどうやってできるの?

回答・対応例:女の人が持っている赤ちゃんの卵と、男の人が持っている赤ちゃんの種が出会って、命のもとができるの。それが女の人のおなかの中で大きく育っていって、赤ちゃんが生まれるんだよ。

★のじま先生アドバイス
1回で理解させようと思わないことが大切です。繰り返し話していくなかで、子どもの様子や反応を見ながら、徐々に精子、卵子という言葉に置き換えていきましょう。

【質問4】赤ちゃんはどうやって生まれるの?

回答・対応例:おなか(子宮)のなかで10か月ぐらい経って赤ちゃんが十分に大きくなると、赤ちゃんは膣というお母さんの股の間にある通り道から生まれてくるの。赤ちゃんの生まれ方はもうひとつあって、お母さんのおなかを切って取り出すこともあるよ。どちらの生まれ方でも、赤ちゃんのすてきな命に変わりはないんだよ。

【行動3】生理のときに一緒にお風呂に入ったら、血を見て大泣きされた!

回答・対応例:女の人にはね、赤ちゃんのためにおなかの中にふかふかのベッドが用意されてるの。子宮といって、男の人にはないの。赤ちゃんがおなかにいないときは、そのベッドを毎月新しいものにとりかえてあげるんだよ。それを血と一緒に体の外に出すことを生理っていうの。この血は怖いものじゃないよ。

★のじま先生アドバイス
生理のときは子どもとお風呂に入らないというママ、結構いるんです。これはもったいない! 男の子も女の子も関係なく、命の話ができるチャンスです。ピンチをチャンスに変える気持ちで話しましょう。

「子どもに性教育を伝えるうえでの“心得”を、教えてください!」
~伝えるときの心得3つ~

ドキドキしながらも、これから少しずつ”性教育”と向き合おうとするママ・パパに、のじまさんから覚えておいてほしいことを3つアドバイスしていただきました。

①性教育に失敗はない。ただ伝わらなかっただけ

のじまさん:“子どもへの性教育で失敗したなってことありますか?”とよく聞かれるんですが、私は“一度もないです”と答えます。ただ、伝わらなかったなと思うだけです。ここがわかりにくかったのなら、違う角度から攻めてみよう。この話ならどうかな? とゲーム感覚で、楽しみながら伝え方(攻略法)を考えるようにしています。

もちろん、この前話したばかりの話をまたすることもある、何度繰り返し話しても伝わりにくい内容もある。教科書通りになんていかないから、行ったり来たりはもちろんあっていいのです。

②「心」を「生かす」で「性教育」

のじまさん:みなさん、最初からハードルが高すぎるんですね。性教育すべてがフルマラソンだとしたら、それこそママ・パパたちがドギマギしちゃうセックスの話なんて、まだ10km地点。みんな苦手なところは一気に飛ばしたい、答えを1つだけ教えて!と焦りがち。気持ちはわかりますが、たとえ10kmでもいきなり走れと言われたら無理でしょう?

準備運動だって大切。好きなお友だちの話でもいい、“手をつなぐとどんな気持ちになるかな?”でもいい。心を生かすと書いて“性教育”=つまりは愛の教育なのだから。子どもの名前を呼ぶ、絵本を読む、抱きしめる。愛情を感じる瞬間をともに親子で楽しむことも性教育なんですよ。

③「習慣」にできたらしめたもの

のじまさん:突然投げかけられた性の質問に、1個ずつきれいに答えてクリアしようと思うと、答える側は力が入ってガチガチになってしまいますよね。じつは、ミュニケーション、命、防犯についてタイミングを見ながらちょっとずつ話していったら、いつの間にか性教育が終わっていた…ということがほとんどなのです。

そう考えると、1回、2回伝わらなかったからと言って落ち込む必要はありません。いつの間にか“習慣”や“当たり前”といったように、性の話が普通に飛び交うようになっちゃえばしめたものです。

まとめ>
“性の話(性教育)をするんだ!”と意気込みがちですが、ハードルを下げましょう。性教育は、「あなたのことが大好き。生まれてきてくれてありがとう」という気持ちを伝えることがベースにあります。

それに、親子で性の話ができるようになると、子どものかわいい反応などを通して、親になった喜びを再び実感できる方もたくさんいらっしゃいます。まずは肩の力を抜いて、楽しみながら、自分なりの性教育を伝えてあげてくださいね。

*「水着ゾーン」は株式会社TerakoyaKidsの登録商標です。(商標登録第6192046号)

【お話】のじまなみ
性教育アドバイザー/とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会代表理事

防衛医科大学校高等看護学院卒業後、看護師として泌尿器科に勤務。2016年から年間1万人のお母さんたちに、家庭でできる楽しい性教育を伝える。テレビをはじめ、新聞、雑誌など、国内外のメディアからの取材も多数。また、幼稚園や保育園、学校、行政、企業などから要請を受け、全国で年間70回以上講演。著書に、『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)、『赤ちゃんはどこからくるの?』(幻冬舎)がある。

とにかく明るい性教育【パンツの教室】 https://pantsu-kyoshitsu.com/

 

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