育児ミニ情報

【専門家監修】生活習慣を身につけるために、 どうしてる? 子どもとの「お約束」

どこの家庭も多かれ少なかれ、子どもとの「お約束」を作っているものですよね。“将来きっと役立つはず”“毎日の積み重ねが大切だから”などと思いつつ、気が付くと「お約束」に振り回されていませんか?

「お約束ってなんのためにするもの?」「他の家庭はどんなお約束をしているの?」「今の約束、本当に子どものためになっている?」こんな疑問もわいてくるでしょう。そこで、3歳から6歳までの子どもを持つご家庭166人にアンケートをとりました。専門家のアドバイスも必見です!

お話/西東桂子先生(幼児教育ジャーナリスト・元育児情報月刊誌編集長)

お約束の大半は生活習慣に関すること

「おうちの決まりごと」「子どもとのお約束」について聞いたところ、生活習慣に関することが圧倒的に多数でした。歯磨きや片づけ、就寝時間など、大きくなったときに、規則正しく生活してほしいという、親の願いが込められていますよね。なかには、こんな声も。

「“○○したら、おしまい”と言っておしまいにするなど、“○○したら”というルールを設けています」

「兄弟でおもちゃを仲よく使えなかったり、お片付けができなかったりすると、“サンタさんのところにおもちゃが戻ってしまうんだよ”と話しています」

「お約束」を守るうえでのルールも決めているご家庭もあるよう。どんな「お約束」をどんなルールで設定するか、工夫を凝らして、よりよい「お約束」を考えている様子がうかがえますね。

よいお約束、悪いお約束の違いは?

では、子どものためになる約束とは、どんな約束なのでしょうか。西東先生に伺いました。

「よい約束」と「悪い約束」を見分けるための基準として、その約束が子どもの発達の度合いに合っているかどうか、という視点があります。

たとえば、「おもちゃの片付けが終わってからでないと、夕飯は食べられないことにする」と親が決めたとしても、今日から突然、子どもだけでうまく片付けができるはずもありません。約束が実行されるためには、次のような手順が必要です。

1.なぜ夕飯の前に片付けをする必要があるか、その理由を伝える(部屋や机がきれいな状態で食事すると気持ちがいい、おもちゃを出しっぱなしにするとつまずいて危険、など)

2.何をどこにしまうのか、子どもがわかるような工夫をする(種類別に箱やかごを分けたり、箱にしまう物の絵を描いて貼ったりする)

3.最初は親も一緒に片付けをして手本を見せ、子どもが上手にできたら「きれいになると気持ちがいいね」などと褒める

4.子どもだけで片付けられるようになったら、夕食時間から逆算して片付け開始のタイミングを知らせる(時間ギリギリになってから急かさない)

そして最も大事なのは、上記のことを子どもが理解できているかどうかです。

片付けをする理由がそれなりに理解でき、どこに何をしまうかがわかり、上手にできたら自分が気持ちいいだけではなく家族にも喜んでもらえることがわかり、片付けにかかる時間の見当がつくようになる――これが発達に合った「よい約束」をするための条件です。「よい約束」とはすなわち、本人が年齢なりに納得してスタートするべきものです。

反対に、その子にはまだ年齢的に難しい約束や、親が踏むべき手順を無視した約束は「よい約束」とは言えません。

この約束をそろそろできるころだろう、理由を理解できるころだろうと親が判断するわけですが、最初のうちは失敗する前に手助けしてあげたり、失敗を大目にみたりすることも忘れないようにしましょう。たとえば「食べたお皿を自分で下げる」際に、汁気の残ったお皿は親が運んであげることにしたり、汁をこぼしてしまった場合も怒るのではなく、「雑巾を持ってきてね」と次の行動を教えたり、というようにします。

子どもにとって約束は、守れなかったら叱られるものではなくて、守れたら褒められるものなのだと、親が心得ておきましょう。

「お約束」、決めてよかった?

 

アンケートによると、「お約束」を決めているご家庭の大半は“決めてよかった”と思っているようです。

その理由としては、「生活リズムができた」「子どもが自発的に動くようになった」など、生活習慣の改善があげられています。

一方で、「お約束」を決めて“失敗したな”と思うときもあるようです。

 

「子どもが約束を守れないと、イライラする」「親のほうが負担になるときがある」など、決めた親自身がお約束に振り回されている様子がうかがえます。

「約束を守る」ことばかりに固執してしまうと、約束の理由を見失いがちで、よい約束でも悪い約束に変わってしまうことがあるのかもしれませんね。

「お約束」について子どもと話すときは、どんな言葉かけをしたらいい?

どうして「お約束」が必要なのかを子どもにきちんと伝えるために、どんなことを心がければよいでしょうか。西東先生にうかがいました。

生活習慣やマナーを身につけることを目的とした約束は、子どもが健やかに育ち、人として安心した社会生活を送ってほしい、という親の願いの表れです。つまりは子ども本人のため”にするもの。それなのに、「この約束が守れないなら、○○をすることは許さない」と言ったり、反対に「この約束が守れたら、○○をしてもよい」と交換条件を出したりすることは、子どものためになっているのでしょうか。そういう視点で考えて、子どもにかける言葉を選択してほしいと思います。子ども自身が、自分は愛されていないのではないかとマイナス感情を持ったり、行動にいつも見返りを求めるようになったりしたら本末転倒ですよね。

かといって、「あなたのためなのよ」という説明はよくありません。子どもにとって面倒くさいことや少しでも我慢を要することであったらなおのこと、いくら「あなたのため」と言われても理解したい気持ちになれません。生活習慣やマナーは獲得するまでに時間がかかりますが、「虫歯になると、とても歯が痛くなるから」など、なぜ必要なのかを繰り返し話してあげると身につきやすいともいわれています。

アンケートでは多くの方が「子どもが約束を守れないとイライラする」と回答していますが、そんなとき、「約束したでしょっ」とカミナリを落としていませんか? 約束を守らせることは大事ですが、守れないでいるときの子どもの気持ちを受け止めてあげることも同じように大事です。特に5~6歳の、約束の意味をよく理解できている年齢の子どもならなおさらです。有無を言わせず守らせるのではなく、まずは気持ちを聞いて子どもに共感してあげてから、自ら修正できるように声かけができたら満点です。

「お約束」を上手に活用しよう

最後に、「お約束」を子どもの育ちにつなげるためのコツを教えていただきました。

約束が守れるようになると親はそれが当然と思ってしまいがちですが、きちんと継続できていることを褒めることが、子どもの自己肯定感を高めていきます。自己肯定感は、長い人生を歩んでいくうえで大切な要素で、とりわけ困難に立ち向かうときには原動力になります。親は幼児期から自己肯定感の土台づくりに手を貸しましょう。

褒め言葉にもいろいろなバリエーションがあります。「疲れていたのによく頑張って偉かったね」「忘れずによく思い出しました。すごい」「いつも約束が守れているね。ママ、とても感心しているよ」などなど。また、「パパ、○○ちゃんは今日で1週間も頑張っているのよ」と、ほかの人の前で褒めてあげることも励みになりますし、たまに会う祖父母などに協力してもらって「おっ、○○ちゃん、お茶碗の持ち方が上手になったねえ」と認めてあげることも効果的です。

約束を守ることだけが優先されるあまり、家庭内がギスギスしてしまうのはよくありません。たとえば、普段は子どもが就寝してから帰宅するパパが、珍しく就寝直前に帰ってきたとしましょう。子どもは大喜び。約束した就寝時刻が守れそうにありません。もし翌日が日曜日なら、「明日は園がお休みの日だし、パパが早く帰ってくることはなかなかないから、特別に30分だけ遅くなってもいいことにしようか」と子どもに話しながらルール変更をしてもいいのです。ただし、特別ルール、特例なのだということは理解させましょう。

特例ではなく、これまで決めてきた内容を変えるルール変更は、「親が心変わりして勝手に変えた」と思われるようではいけません。「あなたが大きくなったから」「いろんなことがわかるようになったから」と成長を認めたうえで声かけをすると、子どもも嬉しく思い、ルール変更についても自分の考えを述べるかもしれません。「お約束」を介して、親子の会話が増えたら、きっとそれは「よいお約束」です。

家庭のなかでの小さな「お約束」ですが、考え方次第で、子どもの成長につながったり、負担になってしまったりするのですね。一度決めたことにこだわるよりも、子どもの成長とともに変化させる余裕をもちながら、上手に「お約束」を活用していきましょう。

 

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