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【専門家監修】必要なのは「あきらめる優しさ」!? 夫婦げんかの円満解決方法とは

前回は、0歳から7歳の子どもをもつ192人へのアンケートから、夫婦げんかの実情についてご紹介しました。どこの家庭でも、多かれ少なかれ、けんかしていることがわかって、ちょっと安心ですね。

さて、今回は、3つのエピソードを元に、夫婦げんかを発展させないヒケツと、けんかの原因を解決する手立てを、横浜心理ケアセンター代表カウンセラーの椎名あつ子先生にお聞きしました。

イラスト/藤本けいこ

エピソード1 「共働きなのに育児はわたし任せ」

共働きなのにワンオペ育児。子どもが熱を出して病院に行くときも、行事のときも、全てわたしが対応しています。仕事が忙しいときでも休まなくてはいけないし、なにより不公平な気がして腹立たしいです。「共働きなんだし、子どもをいっしょに、平等に育てましょうよ!」と言ったら「俺も家族のために、いっしょうけんめい仕事している」「子どもだって母親のほうがいいはず」と言われてけんかになりました。

※椎名先生のアドバイス

不満をぶつけるのではなく、具体的な提案を

夫と同じように働いているのに、病院の付き添いや行事の参加など、いつも自分。どう考えても不公平! と腹立たしく思う気持ちもわかります。しかし、まずは冷静になって「夫にどうしてほしいのか」ということを考えてみましょう。

自分の代わりに子どもを病院に連れていってくれないことが不満? それとも、仕事もして家事もして、育児もしている自分の大変さをもっとわかってほしい?

夫に不満をぶつけて、無理やり子どもを病院に連れていってもらったところで、心配で気になってしまい、“こんなことなら自分でいけばよかった” と思うかもしれません。

自分に自問自答して夫に任せきることができるのならば「今回は、わたしが連れていったけれども、もし次回、これくらいの症状ならばお願いできる?」と提案してみましょう。ここで大切なのは、不満を言うのではなく、あくまでも“提案”という形をとることです。前もって話し合っておくことで、夫も心の準備ができるかもしれません。

また、“病院や行事などを夫に任せるのは、やっぱり心配” と思うのであれば、別の提案をしてみましょう。「病院は基本的にはわたしが行くから、休日の公園遊びはパパがいっしょに行ってくれる?」などという役割分担方式。「平等に!」と、漠然とした不満を言うのではなく、具体的に「○○をするから○○はお願いしたい」と話すことで、相手も受け入れやすくなります。

エピソード2 「家事をちっともやってくれない!」

専業主婦です。掃除、洗濯、食事作りまで、すべてわたしの仕事で、夫は一切なにもやってくれません。文句を言うと「専業主婦なんだから、当たり前でしょ」「だってひまでしょ」と冷たい一言。

子どもも小さくて手がかかるし、わたしだって土日ぐらいは気分転換したいのに。先日、夕食を食べながら不満を言ったら「俺だって疲れているんだ!」とキレ始めて口論になりました。

※椎名先生のアドバイス

“仕事をしている人同士”というスタンスで話し合いを

「主婦」という仕事は、やればやるほど終わりのない仕事ですよね。朝起きて、洗濯機を回し、食事を作り、掃除をし、子どもの面倒をみながら買い物もし、また食事の準備…。項目を挙げればきりがありません。加えて、ゴミ捨てをした後、ごみ箱にビニール袋をかける、洗濯した靴下のペアを探してしまうなど“見えない家事”もたくさん。

まずは、「専業主婦」という仕事は「専門職」だと捉えてみましょう。専業主婦が専門的に仕事をしているからこそ、快適な家庭空間が維持されています。ですから、「主婦」という仕事に、自信をもってよいのです。

そのうえで、“これだけの仕事をこなして、今食卓に夕食が並んでいる” ということを具体的に、穏やかに話してみましょう。タイミングも大切です。夫が疲れてイライラしているときは逆効果だし、自分が不満でイライラしているときも“うるさい”と思われるだけ。お互いにリラックスしているときに、「あなたも休日が必要なように、わたしも休日が欲しい」と提案してみます。例えば、土曜日の午前中は少しゆっくり寝たいとか、この日の午後は気分転換に外出したいとか、具体的に話します。

“仕事をしている人同士”というスタンスで話すことで、冷静な話し合いができるようになるでしょう。

エピソード3 「家計のやりくり、わかっているの?」

子どもの習い事や体験には難色を示すくせに、自分のことには無頓着。わたしは節約しているのに、日用品の価格を比較して買おうという意識がないし、たばこも好き放題。趣味は車で、車の話になると止まらないので、余計にイライラします。何度文句をいっても聞いてくれません。

※椎名先生のアドバイス

家計を数値化して、何のために節約が必要かわかる説明を

家計に関する夫婦のビジョンがすれ違っているのが原因ですね。それには、家計にかかるお金を具体的に数値化して見せることが大切です。「将来的に○○にお金が△△円必要だから、毎月○○円節約したい」と書式にして相談しましょう。

このとき、大切なのは「節約」ばかりを提案するのではなく、“節約することでこんなによいことがある” ということも伝えることです。“その目的のために、2人でがんばろう” と思えることで、夫の考え方も変わるかもしれません。また、妻が家計を預かっている場合にありがちなのは、節約しようとするときに、まず夫のおこづかいから減らそうとすること。夫のおこづかいの額も、どちらか片方が決めるのではなく、2人で話し合って決めましょうね。

夫婦円満のヒケツ5か条とは

最後に、夫婦げんかに発展しないためには、どんなことに気をつけるとよいのか聞きました。

1 相手と自分は別の人間ということを忘れない

家事や育児を分担したいと思っても、夫はあなたではありません。自分なら気づいてできることでも、夫は気づかないこともあるし、その逆もあります。例えば生まれたばかりの赤ちゃんと寝ていると、赤ちゃんのちょっとした変化で、母親はすぐに目が覚めたりしますよね。夫にそれを求めても、難しいでしょう。家事をきちんとやってくれる人でも、細かすぎたり、がんこすぎたりしてしまうことも。そんなズレも、自分とは違う人間だからと思えば許せそうです。

2 不満をぶつける前に客観的に見直す

自分には自分の思いがあるように、相手にも思いがあります。「わたしはこう思う」「わたしはこうして欲しい」という思いをぶつけるだけでなく、「わたしはこう思うけど、あなたはどう思う?」と相手の意見も聞き、認めることが大切。人は、意見を聞いてくれない相手のためになにかをしようとは思わないものです。

3 被害妄想に陥らない

「いつも自分ばかり」「自分ばかり損をしている」という思いにとらわれてしまうと、イライラも倍増。しかし、よく考えてみたら、夫もなにかを我慢しているかもしれません。冷静に判断できる目を持つことが大切です。

4 リクエストは細かく、具体的に

「言わなくてもわかっているはず」と思い込むのは禁物。「○○をお願いしたのに、ちゃんとやってくれなかった」という不満をもつ前に、やってほしいことを細かく、具体的に伝えることが大切です。

5 「あきらめる優しさ」をもって

家事や育児をお願いするとき、「自分がやっているかのように」完璧を求めることも控えましょう。「掃除機をかけても机の下はほこりだらけ」「洗濯物の干し方がだめ」など、自分と比べてできないところを見るのではなく、まずはやってくれたことに感謝を。夫が妻にお願いするときも同じ。自分の思い通りを求めていては、不満ばかりがつのります。

愛し合って結婚した夫婦だからこそ、距離が近すぎてけんかになってしまうこともあるのです。自分の気持ちと相手の気持ちのバランスをとりながら、上手に「夫婦げんか」を乗り切っていきましょう。

お話●椎名あつ子

2000年「横浜心理ケアセンター」設立。1対1のカウンセリングのほか、複数のファミリーカウンセリングにも対応。モラハラやDV,職場ストレス、子ども、大人の発達障害の相談にも多数の実績がある。医療や法律の専門家との連携も可能。著書に『ゆがんだ愛それから』(ギャラクシーブックス)がある。

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